大藝海〜藝術を編む〜

言葉を編む「大言海」(大槻文彦)、音楽を編む「大音海」(湯浅学)に肖って藝術を編む「大藝海」と名付けました。伝統に根差しながらも時代を「革新」する新しい芸術作品とこれを創作・実演する無名でも若く有能な芸術家をジャンルレスにキャッチアップしていきます。

神奈フィルの存続危機!?

先週から本格的にある勉強を開始しましたが、年をとると集中力が持続せず、勉強している時間よりも休憩している(遊んでいる)時間の方が長かったかもしれません(苦笑)年はとりたくないものです..。

かずならぬ 身にさへ年の つもるかな 老いは人をも きらはざりけり(成尋法師)

休憩室で話し掛けて来た初老の紳士から気になる話を耳にし、早速、神奈フィルのホームページを見てみたら「神奈川フィルの活動支援のために著名活動のご協力をお願い致します」という告知文が掲示されていたのでご紹介しておきます。

http://www.kanaphil.com/info/index.html#49

数年前に大阪センチュリー交響楽団でも同じような署名活動を行っていましたが、どうやら神奈フィルも自治体から補助金をカットされて存続が危ぶまれる状況にあるようです。この方から伺った話によると、神奈フィルの事業費は約7億円で、このうち神奈川県の補助金が約2億5千万円、横浜市補助金が約3千万円、川崎市補助金が約1千万円で(約41%)、その余の不足分(約59%)を入場料収入で賄うそうです。以前、TV番組「クローズアップ現代」(NHK)で大阪フィルハーモニー交響楽団の例が紹介されていましたが、事業費が9億4千万円で、入場料収入が4億9千万円(約52%)でしたので、事業費の約48%を補助金に頼っている計算になりますが、巨大スポンサーのお抱え楽団(N響や読響など)を除いて事業費の約半分を補助金に頼らざるを得ない日本のオーケストラの厳しい経営実態が伺えます。

http://jinjibu.jp/GuestKane.php?act=dtl&id=113

アコースティックな舞台芸術の場合には、何万人も入るホールでの公演は難しいですし、1日に何回も公演をこなすことも難しいと思いますので(尤も、クラシック音楽の場合には、それだけの集客を見込めるのかという根本的な問題もありますが)、自ずと収益率には限界があります。一方、日本には(物品や詩歌を贈り合う贈答文化はありますが)金銭を一方的に寄贈する寄付文化は根付いていませんので、結果、日本のオーケストラはその活動と存続を自治体等の補助金に頼らざるを得ない現状があります。自治体等も財政は悪化していますので、この署名に協力して補助金が継続されれば丸く収まるという話でもありませんが、上述のような事情もありますので可能な限りソフトランディングの解決を模索するという意味で署名には協力したいと思っています(志のある方は署名にご協力をお願いします)。その一方で、集客を増やせば企業のスポンサーが付く(増える)可能性が高まりますので、集客アップのための一層の工夫(自助努力)が求められていると思います。例えば、当日、空席がある場合に限って高校生以下の学生に無料で空席を開放するなどの施策は将来の顧客を開拓するという意味で有効なマーケティングではないかと思います。空席が目立つホールより客席が埋まっているホールで演奏する方が楽団員のモチベーションはあがるでしょうし、高校生以下の学生が対象ならば収益にも影響は少なく、文句を言う大人の客もいないと思うのですがいかがでしょうか?なお、今年度から相模原市政令指定都市になったので、この機会に年に数回ほど相模原市内のホールで演奏会を開催することを条件に補助金を要請してみてはいかがでしょうか?