大藝海〜藝術を編む〜

言葉を編む「大言海」(大槻文彦)、音楽を編む「大音海」(湯浅学)に肖って藝術を編む「大藝海」と名付けました。伝統に根差しながらも時代を「革新」する新しい芸術作品とこれを創作・実演する無名でも若く有能な芸術家をジャンルレスにキャッチアップしていきます。※※拙サイト及びその記事のリンク、転載、引用などは固くお断りします。※※

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち

【題名】アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
【監督】ミゲル・コアン
【出演】オラシオ・サルガン
    レオポルド・フェデリコ
    マリアーノ・モーレス
    カルロス・ガルシーア
    アティリオ・スタンポーネ
    オスバルド・レケーナ
    オスバルド・ベリンジェリ
    エミリオ・デ・ラ・ペーニャ
    アニバル・アリアス
    ウバルド・デ・リオ
    アルベルト・ポデスタ
    オスカル・フェラーリ
    ファン・カルロス・ゴドイ
    ビルヒニア・ルーケ
    ラグリマ・リオス
    レオポルド・フェデリコ
    ホセ・“ペペ”・リベルテーラ
    エミリオ・バルカルセ
    エルネスト・バッファ
    カルロス・ラサリ
    ガブリエル・“チェラ”・クラウシ
    オスバルド・“マリネーロ”・モンテス
    フェルナンド・スアレス・パス
    エミリオ・バルカルセ         ほか
【会場】Bunkamura ル・シネマ 17時10分〜
【料金】1800円
【感想】

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち [DVD]

アルゼンチンタンゴの黄金期(1940〜50年代)を築いた往年のマエストロ達がアルバム「CAFE DE LOS MAESTROS」(2006年ラテン・グラミー最優秀アルバム賞受賞)を収録するために一同に会し、(現在では伝説となっている)コロン劇場での世紀の演奏会の模様を収めたドキュメンタリー映画を観に行くことにしました。この映画に出演しているマエストロ達の中には既に他界している方も少なくありませんが、稀代の天才ピアニストであるオラシオ・サルガンさんやアストル・ピアソラ五重奏団のメンバーとしてタンゴファン以外の方にもお馴染みのフェルナンド・スアレス・パスさん(すっかり禿げ上がってしまっていますが..苦笑)の姿なども見られて懐かしいです。老いたりとは雖も、一時代を築いたマエストロ達の演奏には人生の喜びや悲しみなど様々なパトスが籠められ哀愁と情熱に彩られたアルゼンチンタンゴのエッセンスが凝縮されていて、その圧倒的な“Soul”に感動を禁じ得ません。前半の2/3はマエストロ達がタンゴの魅力と思い出を語っている模様が収録されていますが、些か脈絡のない構成で退屈してしまいます。この映画の見所は何と言っても後半の1/3のコロン劇場での演奏会の模様でして、かつての黄金期を髣髴とさせる演奏に映画館の前席に座っていたご婦人などは頻りに涙を拭っていらっしゃいましたし、また、コロン劇場の観客の熱狂振りからしても如何に夢のような一夜であったのかが伺えます。この演奏を聴いて何も感じないという人がいるとすれば、それは演奏の良し悪しや好き嫌いの問題などではなく、その人の感受性が乏しいとしか言いようがありません。..ということで、クドクドと能書きを垂れる映画ではなく、とにかく音楽に酔い痴れるための映画です。惜しむらくはツマミグイ編集が興醒め甚だしいので、できればノーカットで観てみたかったです..。

http://starsands.com/tango/index.html

ピアソラ尽し
ピアソラはクラシックの作曲を学ぶためにパリに留学していましたが、指導教官のナディア・ブーランジェから「あなたの作品は良く書けてはいるけれど心が籠っていない・・・あなたの音楽を聴かせて」と促されてタンゴの曲をピアノで弾いた際、「素晴しいわ。これこそ本物のピアソラの音楽ね。あなたは決してそれを捨ててはいけないのよ。」と言われたことを切欠にしてタンゴの作曲に目覚め、クラシックやジャズの要素を取り入れて“タンゴ革命”と呼ばれる一大センセーショナルを巻き起こし、今日まで続くタンゴブームの火付け役となりました。現在、NHKで女優の栗山千明さんがタンゴカフェというタンゴダンスを扱った番組が放映中です。なお、日本にはタンゴカフェは少ないですが、最近ではバンドネオン奏者の数が増え、ジャズ・バーなどでタンゴが演奏される機会も増えてきましたので(偶にクラシックの演奏会でも採り上げられていますが)、意外とタンゴのライブ演奏に接する機会は多いです。ピアソラの曲ではチェリストのヨー・ヨー・マがTVCMで採り上げたことからリベルダンゴが有名ですが、それ以外にピアソラの代表的な曲のYou Tubeをアップしておきます。

【天使のミロンガ】

【アディオス・ノニーノ】

【忘却】