ぶらあび

クラシック・ジャズ・タンゴ・邦楽・民族音楽等の音楽、オペラ・バレエ・ダンス・ミュージカル・能楽・歌舞伎・文楽・日本舞踊等の演劇、落語・講談等の芸能、茶道・華道・香道等の芸道、絵画・彫刻・陶芸・書画等の美術、古典文学・思想書・宗教書等の文学の感想等をメモ帳代りに書き綴って行きます。Copyright (C) 2007-2018 Administrator All Rights Reserved.

シネマ歌舞伎 法界坊(隅田川続俤 串田戯曲)

【演題】シネマ歌舞伎 法界坊
【演目】法界坊(隅田川続俤 串田戯曲)
     <聖天町法界坊>中村勘三郎
     <道具屋甚三郎>中村橋之助
     <永楽屋手代要介・吉田宿位之助松若>中村勘太郎
     <花園息女野分姫>中村七之助
     <仲居おかん・淡路七郎女房早枝>中村歌女之丞
     <山崎屋勘十郎>笹野高史
     <番頭正八>片岡亀蔵
     <永楽屋権左衛門>坂東彌十郎
     <永楽屋娘お組>中村扇雀 ほか
【演出】串田和美
【会場】東劇
【料金】2000円
【感想】
先日、中村勘三郎さん(57歳)が食道がんで入院したという心配なニュースを目にしました。昨年、勘三郎さんと同じ年齢の桑田圭祐さんも食道がんで手術し無事に芸能界へ復帰していますが、勘三郎さんは桑田さんと同じ病院に入院し、しかも同じ医師(40代半ばの名医だとか)が執刀されるそうです。指揮者の小澤征爾さんも食道がんを罹患されていらっしゃいましたが、日本人の3人に1人はがんが原因で死亡していますので全く他人事ではありません。先日まで僕もこの近所では有名な某病院に入院し名医の執刀(ゴットハンド)により無事に快方に向かっていますが(詳しく書きませんが、僕は切開ではなくゴリゴリと削られました…涙)、同じ病室に入院していた小腸がんの患者さんが切開した傷口は1〜3年程度は痛むと仰られていました。勘三郎さんは初期がんですし、まだ50代で回復力もあると思いますので、歌舞伎界への早期復帰を心待ちにしています。因みに、勘三郎さんの病室はおしゃれな絨毯敷きで癒しの空間を演出した1泊数万円もするセレブリティな個室だそうです。

さて、シネマ歌舞伎はラインアップが充実し、新しい観劇のスタイルとして定着してきた感があります。因みに、METライブビューイングは新しい集客の方法として、このシネマ歌舞伎を参考にして開始したものですが、こちらもリピータ層が増えてきた印象を受けます。シネマ歌舞伎やMETライブビューイングの良いところは生舞台では絶対に観ることができないアングルから鑑賞できてしまうという点と、料金がリーズナブルで公演(上映)中も飲み物を飲める(さすがに音がするので食べている人はいませんが)という利点があります。生舞台を観たときの迫力や感動は味わえませんが(是非、生舞台を鑑賞して貰いたいですが)、歌舞伎やオペラを気軽に楽しむための1つの媒体として有用です。

法界坊(作:奈河七五三助、初演:1784年)は、法界坊という金と女が大好きな破戒僧が永楽屋娘お組に恋慕して追い回し,失敗を重ねるという歌舞伎喜劇の代表作です。本当に悪い奴なのですが、どこか憎めない愛嬌あふれる乞食坊主です。第一幕は、お組に恋い焦がれる法界坊は、盗まれた吉田家の家宝を手代の要助(お組と恋仲)が探し求めていると知り、欲深い法界坊はいい金蔓を見付けたと番頭の正八らも巻き込んで、その家宝を巡る悪巧みが繰り広げられます。一度は散々な目に遭いますが、さらにお組の父らも巻き込んで、さらに数々の悪行を行うというドタバタ喜劇です。「平成中村座」だけあって現代的な芝居(笑)を追及したもので、ちょっとした台詞の言回しや所作がとても洗練されていて絶妙な間合いやテンポのある芝居運びによって上質なエンターテイメント作品に仕上げられています。個人的には、ドタバタ喜劇的な低俗な笑いを好みませんが、その上質な芸は見応えのあるもので十分に楽しめます。勘三郎さんが扮する法界坊の破戒僧振りは勘三郎さんならでは茶目っ気のあるもので味のある芝居に魅せられましたし、会場の空気を巧みに掴む勘三郎さんの観客を巻き込んだアドリブには(物語の展開が損なわれない場の繋ぎを含めて)長年のキャリアが感じられ、決して観客を飽きさせません。そして、いつもながら亀蔵さんの卓抜した身体能力の高さには舌を巻きます。第二幕では、雰囲気が一転して、法界坊と野分姫が非業の死を遂げて怨霊となり合体しますが、法界坊と野分姫の恨みを巧みに演じ分ける勘三郎さんの情念渦巻く迫真の演技は息を呑みます。第二幕は喜劇というよりはアクロバティックな舞台が圧巻で、勘三郎さんが悪霊に変じる早変りは一つの見物となっていますし、舞台後方の壁が取り払われて借景を使ったスケール感のある舞台演出が斬新に感じられます。会場はスタンディングオベーションとなる興奮振りでしたが、さぞや生舞台は迫力があったことでしょう。なお、中村橋之助さんの粋な二枚目振り、中村勘太郎さんの色男振りも見物であったことを付言しておきます。
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/11/
http://www.kabuki-bito.jp/news/2008/10/__photo_125.html

◆おまけ
昨日、マタイ受難曲について投稿したので、その絡みで「スターバトマーテル」(悲しみの聖母)をご紹介します。有名なドボルザークロッシーニの作品以外でご紹介します。なお、5月26日の記事で映画「ミッション」から聖母マリアの映像を集めたものをアップしておきましたが、この映像は良く出来ていますのでご覧下さい。

▼ヴィヴァルディ

▼ペルコレージ

プーランク

◆おまけのおまけ
聖母と言えば「アヴェ・マリア」なので、定番中の定番ですが、ついでにこちらもご紹介しておきます。

▼バッハ/グノー

カッチーニ

シューベルト

▼番外編
寺井尚子さんのジャズアレンジバージョンです。