大藝海〜藝術を編む〜

言葉を編む「大言海」(大槻文彦)、音楽を編む「大音海」(湯浅学)に肖って藝術を編む「大藝海」と名付けました。伝統に根差しながらも時代を「革新」する新しい芸術作品とこれを創作・実演する無名でも若く有能な芸術家をジャンルレスにキャッチアップしていきます。※※拙サイト及びその記事のリンク、転載、引用などは固くお断りします。※※

音楽のつつましい願い

【題名】音楽のつつましい願い
【著者】中沢新一山本容子
【出版】筑摩書房
【発売】1998年1月17日
【値段】2200円
【感想】
いよいよ明日4月2日は新しくなった歌舞伎座の杮葺落公演の初日です。1889年11月21日に建設された歌舞伎座は過去に3回ほど建て直されていますが(前回は1951年)、今回が4回目の建直しとなります。歌舞伎座の椅子と言えば、腰掛けるというより肘掛の間に“挟まる”という感覚に近く、しかも満員電車よろしく体を小さく窄めながら隣席の人と体を密着して腰掛けなければならず、クラシック音楽の演奏会よりも長時間に亘る歌舞伎鑑賞ではさながら滝にでも打たれているような“荒行”に耐え忍ばなければなりませんでした。しかし、新しい歌舞伎座では何と!座席の寸法が横幅で約3cm、前後の間隔が約6cmも広くなり、以前と比べるとかなりゆったりと鑑賞できるようになって、遅れて来た中央席の観客のためにゾロゾロと立ち上がる必要もなくなりそうです。僕のように僅かばかりの小遣銭を握り締めて歌舞伎座へ通う庶民は3階の貧民席でしか歌舞伎を鑑賞することは叶いませんが、その3階の最後列からでも花道の七三(すっぽん迫り)部分まで見えるようになり、以前のように何やら花道の辺りから音は聞こえてくるけれども何をやっているのかさっぱり見えない…挙句の果てに1、2階席の客から笑い声が聞こえくると余りの悔しさにうんこでも漏らしてやろうかという気持ちにさえなってくるほど癪に障る思いをすることもなくなります。着物でもお洒落に着こなして、粋に歌舞伎見物なんて大人の道楽はいかが。

4月は卯の花が咲く季節という意味で卯月(うづき)と言いますが、この「う」は「初」や「産」も意味し、1年の循環の最初を示す言わば「旅立ちの月」のことです。4月になると街中には新入社員らしき初々しい姿が目立ちますが、その初々しい姿を見て自分が新入社員だったころの清新な(決意)を思い起こし、自ら気持ちを改める生活(人生)の節目になっています。僕は新居に引っ越し、職場を変え、車も買い替えて生活環境を一新し新たな気持ちでこの4月を迎えています。その記念に僕の書斎の一部を公開してしまいましょう(ウフフ)

感想を執筆中。

音楽のつつましい願い

音楽のつつましい願い

◆おまけ
この本の中に登場する作曲家の代表作をいくつかご紹介しておきます。この本をはじめとした良質なエッセイは(楽典、楽曲解説本や伝記で得られる知識とは比べものにならないくらい)音楽のイメージを広げてくれ、より豊かな鑑賞を手助けしてくれるので、僕はこの種の本が大好きなのです。

ヤナーチェク ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」より第1楽章

フォーレ パヴァーヌ

ボロディン ノクターン