
今日、政府から緊急事態宣言が発出され、1ケ月間程度の外出自粛等が要請されましたが、その早期収束を祈念して「コロナ(CORONA)」に因んだ楽曲を紹介します。新型コロナウィルスの「コロナ(CORONA)」とは
ギリシャ語で王冠や太陽光を意味する言葉ですが、新型コロナウィルスの球状の表面突起が王冠や太陽光の形状に似ていることから「コロナ(CORONA)」と
命名されたそうです。1962年に
武満徹は
ジョン・ケージの
不確定性の音楽に影響されて
「コロナ(CORONA)」の形状の図形楽譜による
「ピアニストのためのコロナ」を作曲しましたが、新型コロナウィルスのパンデミクスによって不確実性の時代と形容される先行きの見えない現在の混沌とした状況を予見するかのような音楽になっています。

人類と疫病(
寄生虫、細菌、ウィルスによる感染病)の戦いの歴史は古く、
旧約聖書には疫病に関する記述が見られ、人が神の掟を破る(罪)と神の裁きとして人や家畜に疫病が流行する(罰)と信じられていました。
レビ記第13章には疫病に罹患した人を(病院ではなく教会で)「
隔離」して経過観察する様子が記述されていますが、未知の疫病に対して有効な対抗手段を持たない人類は将来への見通しが立たない不案な状況(不確実性)の中で、ひたすら禁欲的に自粛しながら神の怒りが収まるのを祈っていた姿が浮かび上がってきます。現代は、
抗生物質の開発(人工の秩序)によって細菌に対する優位性を獲得しましたが、未だウィルスに対する有効な対抗手段はなく(ウィルスの研究は
電子顕微鏡が開発された1930年代以降に本格化)、ひたすら神の怒りが収まる(即ち、自然の秩序によってウィルスが消滅するか又は人の免疫機能が働く)のを待つしかないという状況に変りはなく、新型コロナウィルスの脅威は科学技術の進歩によって自然界を凌駕したつもりになっている現代人の傲慢さに対する、人ならぬ者からの手厳しい警告と言えるかもしれません。
イスラム教の開祖・
預言者ムハンマドは疫病対策として「
渡航制限」や「
外出自粛」を説いて幾多の疫病から数多くの人々を救ってきましたが、これらは現代でもウィルス性の感染病に対する有効にして殆ど唯一の対策と考えられており、現代でも科学技術の進歩(人工の秩序)がウィルスの進化(自然の秩序)に及んでいないことを示しています。一方、日本では、
「源氏物語」の第五帖「若紫の巻」において
光源氏が瘧病(
マラリア)に罹患する場面が登場しますが、
遣唐使(人の「
移動」)によって中国大陸から仏教と共に
寄生虫が日本国内へ持ち込まれたことで疫病が流行していたと考えられます。その後、日本が本格的な国際化を進める契機となった欧米諸国からの相次ぐ外国船の来航によって
コレラ菌が日本国内へ持ち込まれ、
狐狼狸(ころり=コレラ)が大流行して数万人が死亡したと言われています。
産業革命により
蒸気機関が発明されたことで国境や海洋を越えて人の「
移動」が活発になったことによって、人に寄生した
寄生虫、細菌やウィルスが急速に世界中へ広がり、現在も、その脅威に人類は晒されています。
「汝ら、もしある国に疫病が存在していると知ったならばそこへ⾏ってはならぬ。だが、もし疫病が汝らの今のいる国に発⽣したならば、そこを離れてはならぬ。疫病で斃れるものは殉教者である。」
🍑梅毒を罹患した主な芸術家(没年順)
◆おまけ
演奏しているのは
桐朋アカデミーオーケストラ生のようですが、「弦の
桐朋」の面目躍如たる
秀逸なアンサンブル(@
呉羽狂詩曲)をご堪能下さい。テレワークとは思えないような出来映えですが、何回か撮り直したんでしょうか(笑)人々の心が荒んでいるときこそ音楽の力が必要です。音楽に救われる思いがします。やっぱり音楽って良いですね💕