ぶらあび

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オーケストラの経営学

【題名】オーケストラの経営学
【著者】大木裕子
【出版】東洋経済新報社
【発売】2008年10月30日
【値段】1680円
【感想】
少し昔になりますが、「オーケストラの経営学」という題名につられて購読してみましたので、その感想をアップしておきましょう。この本はプロオーケストラを経営学的な視点から分析、解説したものですが、日本のプロオーケストラが抱える構造的な問題について独創的又は現実的な解決策、改善策を提言するところまで踏み込んだ内容にはなっておらず、どちらかと言うと日本のプロオーケストラの内情を知る人による暴露本という性格が強い印象を受けます。

オーケストラの経営学

日本のプロオーケストラの内情については日頃から色々と噂を耳にしますが、実際に日本のプロオーケストラに所属していた方が自らの体験として語っているだけに、妙な生々しさがあり、その出口の見えない閉塞感には気が滅入ってくる思いです。この本はこれまで風聞として語られていた噂について、その裏付けとなるデータ(根拠)などが掲載されているので参考になります。しかし、やや議論の展開が荒っぽいところがあり、日本のプロオーケストラはヨーロッパのような公的支援ではなくアメリカのようなマーケティングを重視した民間支援(寄付)によって財政基盤の強化を図るべきだと簡単に結論付けてしまっていますが、果たして寄付文化が根付いていない現代の日本にアメリカのような仕組みを導入して本当に上手く機能するのだろうかという疑問が擡げてきます。また、マーケット(尤も、どのようなマーケットを想定しているのか定義されていませんが)をトライアル層、リピーター層、寄付層と大雑把に3つのカテゴリーに分類していますが、まるで血液型で人間の性格を論じているようなアバウトさがあり、もっと肌理細やかなマーケットの分析や検討が行われないと現実的な解決策を提示することは難しいような気がします。但し、さすがは元プローケストラに所属していた方だけあって、「日本のオーケストラ≒職人」「欧州のオーケストラ≒アーティスト」という切り口で日本のプロオーケストラに不足しているものを考察している部分は非常に興味深く拝読しました。もともと日本の伝統音楽にはハーモニーという概念がありませんが、日本人と西洋人のアンサンブルの違いについて単に日本の音楽教育の問題として片付けてしまうのではなく、日本人が遺伝的に受け継いでいる気質や日本文化の素地にまで遡って考える必要がありそうで、個人的には深いテーマ性を孕んだ問題だと思います。小澤政爾さんが「東洋人として、どこまで西洋音楽ができるか」という問題意識を吐露されていましたが、この問題意識にも相通じるものがあると思います。このブログでも何度か書いているとおり、僕は日本のオーケストラは日本車に似ているところがあると思います。この点、某自動車評論家がレクサス車を「上質な水」と評した言葉に(良くも悪くも)全てが語られていると思いますが、レクサス(水)とBMW(ワイン)の違いは象徴的な意味で日本のオーケストラと欧州のオーケストラの違いにも当て嵌るような気がします。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第13番変ロ長調より第5楽章
ベートーヴェンの最高傑作は第九などではなく、紛れもなく後期弦楽四重奏曲と後期ピアノソナタだと思います。是非、第1楽章から聴いて貰いたいのですが、今日は第5楽章「カヴァティーナ」のみをご紹介します。一聴して分かり易いメロディアスな音楽ではありませんが、瞑目して静かに音楽だけに耳を傾けているとベートーヴェンの魂に触れるような恍惚感に浸れます。いつぞや古典四重奏団がノン・ヴィヴラートで同曲を演奏するのを聴きましたが、その時の演奏が僕にとって生涯忘れえぬ最高の名演奏であったことを付記しておきます。なお、第6楽章の大フーガは演奏至難で有名。

おまけ(ヴァイオリンソナタ編曲版)

おまけ(サイトウキネンの音をお楽しみあれ)

おまけのおまけ(映画「ミッション」から聖母マリアの映像をお楽しみ下さい。僕には未だこの映画の感想を書く自信がありません。)